『キミスイ』こと『君の膵臓をたべたい』
住野よるさんの小説のデビュー作であり、実写映画化、アニメ化と絶好調!
2015年に第1刷が発行され、今もなお売れて続けているベストセラーです。
インパクトがある『君の膵臓をたべたい」というタイトル。
本や映画を見てない方でも一度は聴き覚えがあるのではないでしょうか?
私もその中の一人で、古本屋さんで見かけたときに「あ、映画されてたやつだ」と思ったのが読むきっかけです。(※うまい棒8本くらいの値段だから買ったわけじゃないよ)
読み始めてみると、ヒロインの葬式から始まるという衝撃の展開。
タイトルからして「誰かが死ぬ系」で泣かせてくるのは目に見えてましたが、不覚にも3回も泣かされてしまいました。
そんな『キミスイ』を読んだ感想と、本書を読んで学んだ3つのことを記事にしたいと思います。
まだ読んだことがない方にもぜひ読んでほしいので、ネタバレには注意して書いてます。
あしからず!
あらすじ
男女二人の高校生が繰り広げる青春ラブコメ。
主人公志賀春樹が病院でたまたま拾った本、それは「共病文庫」
本の内容は膵臓の病気で死を宣告されたという内容が書かれた日記。
主人公が本を読んでいる途中、持ち主であるクラスメイトの山内桜良(ヒロイン)に声をかけられて彼女の家族以外誰も知らない病気の秘密を共有することになる。
本しか友達がいない春樹とは対照的に、明るい性格で友達も多い桜良。
二人の関係は、恋人ではなくただの「仲良し」
そんな「仲良し」な二人が学校や放課後、はたまた旅行までしてちちくりあいます。
そして読み進めていくうちにタイトルの『君の膵臓をたべたい』の本当の意味を知ることに・・・。
『キミスイ』を読んだ感想
3回泣きました。
これが私の率直で、一番の感想です。
280ページに及ぶ内容でしたが1日で読みきってしまいました。
高校時代にあまーい恋愛とはほど遠い生活を送っていた私にはキュンキュンする内容でした。
会話がおもしろい
高校生がこんな会話するかよ
ってツッコミを入れたくなるんですがついつい笑って、そしてニヤけてしまいます。
お互いが相手をイラつかせようとして放ったセリフがこちら。
主人公 「誰もオレンジを天ぷらにしようとは思わないだろうね」
ヒロイン 「なんだかスウェーデンのことわざみたいだね」
文脈ないのでわけわかんないかもですが、このセリフ自体に意味なんてないんです。
意味のない会話ができるくらいに二人の心の距離が近い。
余命1年という非日常を背負う設定だからできるボケとツッコミの掛け合いも最高でした。
早く「○○」って言えよ!
私はずっと思ってました。
早く「好き」って言えよ! と。
二人の関係は恋人じゃないんです。
ただの「仲良し」なんです。(最初は)
はたから見たら付き合っているようにしかみえない二人。
焼肉、スイーツ食べ放題、旅行。
延々と二人がちちくりあう姿を見せつけられてモンモンとした感情が湧きでてきます。
いつ死ぬかわからないヒロインだからこそ、二人の関係がどう進展するのか目が離せませんでした。
3回泣いた・・・。
私の話ですが、結婚して子供ができるとダメですね・・・。
この手のストーリに触れるとすぐに泣いちゃいます。
感情移入が止まらない!
でも人が死ぬってだけでは泣きませんよ。
私が泣いた場面はこちらの3場面。
- 終盤で『君の膵臓をたべたい』という文章が出た瞬間(序盤もしっかりと読んでいてください)
- 主人公とヒロインの母親とのやり取り(母親に感情移入しまくり)
- 主人公とヒロイン、それぞれの想いが明らかになった瞬間(感動しかない)
『君の膵臓をたべたい』、よくもまぁこんなタイトルを思いつきましたね。
「3回泣きました」と言いましたが、正確には4回泣いてます。
それはネタバレになるので言いません!
まだ読んでない人はぜひ読んで泣いてください!
ちなみに私は、古本屋でですがうまい棒8本分の値段でこの感動を手に入れました☆
3つの学べること
死生観
誰の今日の価値も同じ
余命1年の桜良も、そうでない春樹も結局はいつどうなるかわからない「今」を生きている。
病気などしていない春樹ですら今、この瞬間に交通事故で死ぬかもしれない。
そういった意味で余命の有無に関係なく「今日」の価値は、誰でも同じだということ。
今、この瞬間を全力で生きる。
こんな言い方をすると堅苦しいですよね。
私は、こう考えてるようにしています。
「今日は楽しかった。」という言える一日にする。
一日に一つでも自分のやりたいことができたら勝ち組です。
そんな日を一日でも多く積み上げていけるようにしたい。
改めてそう感じさせてくれました。
「選択」する人生
誰も、僕すらも本当は草船なんかじゃない。
流されるのも流されないのも、僕らは選べる。
物語の序盤、春樹は自分のことを「草船」と呼んでいました。
流れに身を任せ、自分では何も「選ばない」人生を歩んでいると。
しかし、もうすぐ死ぬかもしれない桜良を前に気づかされます。
春樹が、桜良と一緒にいること「選んだ」ということに。
一緒にいないという選択もできた。
でも、そうしなかったのは春樹の意思であり選択です。
人生を良くすること、悪くすることを「選択」できるのは自分自身のただ一人だけ。
良い人生を選ぶのも悪い人生を選ぶのも自分次第。
自分が「選択」した人生を後悔したくないと考えさせられる一節でした。
人間関係
隣の芝生は青く見えるらしいです。
「生きるとは?」という問いに桜の答えはこちら。
私の心があるのは、皆がいるから、私の体があるのは、皆が触ってくれるから。そうして形成された私は、今、生きている
「生きとは?」という問いに対する桜良の答えから抜粋
他人がいるから私がいる。
他人がいるから生きていることを実感できる。
いや、もうおっしゃるとおりです
そんな桜良ですが、本しか友達がいない春樹に憧れていたんだとか。
でも、周りに人がいなくても。
たった一人の人間として、生きてる君に憧れてた。
マジかよ
「そんなことあるわけない」とツッコミたいところですが、憧れちゃったもんはしかたありませんね。
私がボッチに耐えられる自信はありませんが、友達がいないからといって人間関係に悩む必要はないのかもしれません。(ごめん、強引すぎた)
なんせ春樹、桜良ともに高校生とは思えないほど、人間関係で悟りを開いちゃってるので俯瞰的に二人の考え方をみてみると勉強になります。
特に春樹は、アドラー心理学の使い手かって思うほど「課題の分離」というテクニックを駆使していました。
課題の分離は、対人関係の悩みを解決する切り札的テクニック。
詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください☆
まとめ
何回も言って恐縮なんですが、3回以上泣きました。
それもこれもこの『君の膵臓がたべたい」というタイトルが秀逸すぎるから。
まだ読んでいない人は、ぜひ読んでその意味を確かめてみてください。
「死生観」「選択」「人間関係」、人生の密度を上げる重要な3つのことが学べる点も非常にオススメできる一冊でした☆