人は、今、この瞬間から変わり、幸せになることができる
「嫌われる勇気」 著者 岸見一郎 古賀史健
この本の結論です。人を変えるのではなく、自分が変わる。そして、誰でも幸福なれる。
心理学者であり哲学者でもある岸見一郎さんが書いたアドラー心理学の解説本です。
全ての悩みは対人関係にあるとした上で、自分自身がどうやったら幸せになるのかを教えてくれます。
この本を読んでほしい年代の方は10代学生から30代社会人の方。私自身、学生やブラック企業に勤めていた時にこの本に出会えていたら「もっと違う人生もあったかもと」考えさせられる内容です。
今回は、この嫌われる勇気を読んで、私が実践した最も簡単で効果があったテクニックである課題の分離について紹介します。
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見一郎 ]
前提として、全ての悩みは対人関係にある
まずこの本では、全ての悩みは対人関係にあるとしています。ここでいう対人関係の悩みとは、恋人や知人との人間関係で生まれる悩みだけでありません。一見、対人関係とは関係のなさそうなお金、健康、生まれた環境の違い等の悩み全てが、対人関係から生まれるものだとしてます。
考えてみると、宇宙で人間が自分一人しかいないとしたら、当然人間関係で悩むことはありません。お金は存在しないでしょうし、不健康な体で生まれたとしても、他の人と比較できないのですから不健康な体が当たり前と思うようになるでしょう。
では、対人関係の悩みから解放され幸せになるためにはどうすればいいのか。
最も簡単で効果のあったテクニック~課題の分離
課題の分離とは、自分の課題と他者の課題を分離することをいいます。
つまり、自分で出来る事と出来ない事を線引きする。
これだけです。
付け加えるなら、自分で出来ない事なんか気にするなって事です。
わかりやすい例えとして「馬を水辺に連れていくことはできても、水を呑ませることはできない。」ないという話があります。
馬を水辺に連れて行くのは自分の課題です。
しかし、馬が水が飲むかどうかは馬の問題であって、自分ではどうにもできない他者の課題ということになります。
親子関係に例えると、例えば子供が父親に勉強の成果を認めてもらえないことで悩んでいたとします。自分は精一杯やった、テストでこれだの点数を残した。でも親は褒めてくれない、努力を認めてくれない。
その原因がなんであれ、父親が子供のことをどう思うかは父親自身が決めることであり、これは父親の課題でといえます。つまり子供の課題ではありません。なんでこんなに頑張っているのに評価してくれないんだと悩むのではなく、子供自分が出来ることに着目する。例えばテストでもっといい点を取る、家事を手伝う等の自分ができることに着目することが有効です。
間違っても「いつか父親がわかってくれる。」等と父親自身が変わることを望んではいけません。それは父親の課題、つまりは他者の課題だからです。
この課題の分離にはもう一つ、大事な事があります。
それは、他者の課題に自分から踏み込んではいけないということです。
先ほどの親子関係の例で言うと、親が子供に対して勉強をしろと注意することが他者の課題に踏み込むことになります。
勉強をすることで一番利益を得るのは子供です。勉強をしなくて一番困るのも子供自身です。いくら親が勉強をするように環境を整えても実際に勉強をするのは子供自身です。このことから親が子供に対して「勉強しなさい!」と注意することは他者の課題に踏み込むことになります。
さきほどのロバの話を思い出してください。
自分がロバになったつもりで考えるとわかりやすいです。
ロバ自身は水を飲みたくないのに、無理やり水飲み場に連れていかれる。
これってストレスですよね。
ロバは嫌がっているにもかかわる「熱中症になるから飲め。」と無理やりロバのクチを開けて水を流し込んだりしたら、虐待レベルですよね。
子供に勉強しなさいと注意することもこれと全く同じなんです。
将来のためだからと親は子供に勉強するように促します。当然私もしていました。
でも、それは子供からしてみると子供自身の課題に土足で踏み入られて強烈なストレスに感じているのです。絶対にやってはいけません。
では、どうするのか?
「勉強したくなったら言いなさい。全力で応援するから!」
と子供自身が勉強したくなった時に、親が子供のサポーターになることを告げるだけでいいんです。
ここでいうサポーターとは、勉強ができる環境や資金、そして子供本人を応援する精神的な支援です。
勉強しない子供を放置するわけでないのです。
真に子供のことを思い、子供に興味や関心を払いつつ、子供がアドバイスや協力を求めてきたときに全力で支えてあげる。
子供がアドバイスや協力を求めてきたのではあれば、それはもう子供だけの課題ではありません。アドバイスを求められた親自身の課題になり、子供と親との共通の課題になるのです。
正直、子育てに正解はないと思います。
何を持って正解かわからないからこそ、この課題の分離を土台とした親子関係の在り方には考えさせられるものがありました。
この本読んで実践した3つのこと
自分をよく見せようとしない
振り返ってみると、以前の私は八方美人なところがありました。
人からの頼まれごとに対して、「やれます、できます、頑張ります。」と一見すると前向きな言葉ばかり使って自分を追い込んでいました。
これは誰からも嫌われたくないあまり、自分をよく見せようと自分自身を偽っていたように思います。
この自分をよく見せようとする行為は、課題の分離が出来ていない典型的な例です。
他人が自分のことをどう思うかは、完全に他者の課題にあたります。
人の目など気にせず、自分の正しいと思ったことをする。
人の目なんか気にするな!!
これからも自分にそう言い聞かせていきたいと思います。
相手のことを考える
当たり前のことなんです。
でも、振り返ってみると恥ずかしいまでにできていなかったように思えます。
求められてもいないのにアドバイスをする、自分が正しいと思うことを相手に押し付ける。
これらは他者の課題に土足で踏み込む行為です。
真に相手のことを考えていれば、こういった行動はとっていなかっと改めて思います。
アドバイスをするにしても、そのアドバイスは相手にとって本当に必要か、相手はアドバイスを求めているか、言葉や説明は理解されているか等、深く考えるよう心がけるようになりました。
感謝の記録化
これは、本とは関係なく私自身がやっていることです。課題の分離を間違って使うと単に自己中心的なヤツになってしまいかねません。
感謝を記録化することで、今の自分の存在意義や周囲の人への感謝を忘れないようにしています。
具体的には、「カレーライス美味しかったよ、ありがとう。」「洗濯物してくれてありがとう。」等文字は短くてもいいので日常的な些細なことを書くようにしています。
たまに書いたことを見返すと「こんなこと書いてるわ。」と自分でも笑ってしまってホッコリします。
まとめ
この本を読んで自分自身の幸せについて、真剣に考えるようになりました。
周囲の人からも「ポジティブだね。」「メンタル強いね。」と以前と比べて前向きな言葉をいただけるようになりました。
課題の分離はのテクニックは理解した瞬間から人生かが変わるテクニックだと言い切れます。
親子関係や職場の人間関係を解決するだけでなく、幸福な人生を歩む手掛かりにある一冊として是非おすすめする一冊です。
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見一郎 ]